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2025年05月23日(金)
こんにちは、つーぶろです。
令和7年度の税制改正により、パート・アルバイト勤務の就業調整の目安とされてきた「103万円の壁」に大きな変化が生じます。
これまでは、年収が103万円を超えると所得税が課税され、配偶者控除や扶養控除の対象から外れるため、働き方を調整していた方が多くいらっしゃいました。また、扶養手当などの支給にも影響することから、世帯全体の手取り収入に関わる重要な基準となっていました。
今回の改正では、以下のような見直しが行われます。
・基礎控除:最大48万円→最大95万円
・給与所得控除の最低保障額:最大55万円→最大65万円
これにより、所得税がかからない年収の上限が103万円から160万円に引き上げられることになります。物価高騰や最低賃金の上昇などの社会的背景を踏まえ、就業調整による労働力の制限を緩和することが目的とされています。
ただし、「税金がかからない=手取りが増える」とは限りません。社会保険や住民税の納税義務の壁は修正されていないので、引き続き注意が必要です。
社会保険の加入義務については、「106万円の壁」と「130万円の壁」が存在します。授業員数などの一定条件を満たす勤務先では、年収が106万円を超えると健康保険と厚生年金への加入が義務付けられます。これに該当しない勤務先でも、130万円を超えると被扶養者の資格を失い、自身で社会保険に加入する必要が出てきます。
また、住民税については年収110万円を超えると課税対象となります。5月16日に「106万円の壁」を将来的に撤廃すると閣議決定されていますが、住民税の納税義務が発生することには今後も注意が必要です。
さらに、社会保険の適用が拡大されるので、パートやアルバイトの方だけでなく、事業主にとっても人件費負担の増加が現実的な課題となってきます。
このような状況に対応するために、企業側としては、対策が必要になってきます。例えば、「キャリアアップ助成金(社会保険適用時処遇改善コース)」は、社会保険に加入したパート・アルバイトなどの処遇改善を図ることで、助成金の支給を受けることが出来る制度があります。賃金の増加や手当の支給を通じて従業員の生活を支えつつ、企業のコスト負担を和らげる手段として活用が期待されます。
今回の改正は、働き手にとっては収入を伸ばすチャンスが広がる一方で、事業主にとっては制度対応や人件費の増加といった新たな課題が出てくるタイミングでもあります。
ですのでパート・アルバイトの方々の意向を早めに確認し、今後の働き方や勤務体制を一度見直すことで、問題なく対応できるのではないでしょうか。