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2025年05月19日(月)
無償で資産をあげたら収益になる。ピンと来ない方も多いのではないでしょうか。
法人税法22条2項は、益金(収益)に関する一般規定には、益金の額に算入すべき金額が次のように定められています。(一部抜粋)
「資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡または役務の提供、無償による資産の譲受」
資産の販売や、有償で資産を譲渡した場合に益金の額に算入されることに違和感を持つ人は少ないように感じます。受け取った対価が益金になる。シンプルです。
しかし、この「資産の無償譲渡」から益金が生じるという点についてはどうでしょうか。
例えば、ある法人が土地を別法人に無償で譲渡しました。この場合、22条2項に基づいてその土地の時価の金額が益金の額に算入されることになります。
無償で資産をあげた側にも益金が生じる。対価をもらっていないのにも関わらずです。
結論は「法人課税の中立性」を理由に益金とされています。無償取引を益金の額に算入しなければ他の法人と税負担の公平や競争中立性の確保が困難になるからです。
おもしろいのは、無償取引は企業会計でも会社法会計においても利益が生じる取引とはされていません。租税法会計での特異な扱いとなります。
それゆえに租税法会計での考え方というものを読み取ることができるのです。
次回は「法人課税の中立性」について主要な学説と併せて説明します!
kirin